クレジットカード現金化って違法じゃないの?

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クレジットカード現金化って利用しないように注意喚起されていますが、やっぱり違法なんでしょうか?
利用したら逮捕されたりしますか?

クレジットカード現金化については、過去に現金化業者が逮捕されたことや、フリマアプリを使って現金化をしていた男性が逮捕されたという事件がありますが、その一方で、クレジットカード現金化にも様々な形態があって一概に評価できないという議論もあるようです。

ただし、官公庁をはじめ、カード会社や各種業界団体からは注意喚起がだされており、いずれにしろ、リスクが伴う取引であるという点、カードの利用規約には明確に違反する点などについては予め知っておく必要があるかと思います。

この記事では、各事例を踏まえつつ、クレジットカード現金化の違法性について解説したいと思います。

※本稿著者は法律家ではないため、各事案について合法・違法の評価は致しません。本稿はあくまで客観的事例と、各社の主張を紹介し、「クレジットカード現金化の違法性」について正しく理解するための助力となることを目的と致します。

違法性があると言われる理由

クレジットカード現金化逮捕

まずは、クレジットカード現金化が違法であるという見解について見ていきましょう。

過去の逮捕事例

違法性がある理由の一つとして、現金化業者が過去に摘発されたことが上げられます。

現金化業者の逮捕事例はこれまで2件あります。

日本経済新聞によると、2011年8月5日に東京都台東区にある現金化業者が警視庁生活安全課に逮捕されました。
容疑は「出資法違反」です。

この現金化業者がやっていたのは、クレジットカードでネックレスを購入させてキャッシュバックを振り込む、キャッシュバック方式でした。

現金化業者が同法違反で逮捕されたのはこの時が初めてだったそうです。

日本経済新聞より抜粋
また、2012年7月には、東京都目黒区の現金化業者が逮捕されました。
容疑は、同じく「出資法違反」です。

この業者は、利用者に商品リストを送り注文させる方法をとっていて、商品は風景画像が入ったCD-ROMだったそうです。

日本経済新聞より抜粋

このように過去には現金化業者が逮捕される事例が報告されています。

また、現金化業者とは違いますが、クレジットカード現金化の関連でメルカリでも逮捕事件がありました。

2017年11月16日、メルカリを使って現金を出品していた千葉県在住の男性を、千葉県警生活経済課が逮捕しました。

容疑は同じく「出資法違反」です。

この男性は、5万円の現金をメルカリに59,500円で出品していて、利用者はメルカリを通じてクレジットカード決済で現金を購入していたということです。

産経ニュースより抜粋

この件をきっかけに、メルカリをはじめフリマアプリでは現金の出品が禁止されることになりました。

日本クレジット協会の見解

日本のクレジットカード会社が共同で運営する「日本クレジット協会」という組織があります。

日本クレジット協会では、法律家などを招いてクレジットカード現金化の違法性に関する調査をし公表しています。

その中で、クレジットカード現金化は、以下の法律に違反する可能性があると述べています。

  • 詐欺罪
  • 貸金業法違反
  • 出資法違反
現金化取引は、詐欺罪(刑法 246 条)又は電子計算機使用詐欺罪(刑法 246
条の 2)に該当しないか。

(一部略)

これに加えて、貸金業法違反、出資法違反となりえないかという点について
も問題となりうる。

クレジットカード現金化業者の主張は?

ここで現金化業者の主張も改めて確認しておきましょう。

クレジットカード現金化には大きく分けて2つの方式があります。

商品買取方式とキャッシュバック方式です。

現金化業者はこれらのスキームを使い、適法の要件を満たしているという考えの元で営業をしています。

商品買取方式とは、

利用者がクレジットカードで購入した商品を業者が買い取ってその代価として現金を支払うことで現金化をする方式です。

この取引は、中古品買取業者がやっていることと同じなので違法ではないという立て付けです。

キャッシュバック方式では、

利用者がクレジットカードで買った商品に対して値引としてキャッシュバックをします。キャッシュバックとして返金することで現金化をする方式です。

キャッシュバックは通常の買い物でも使われる商習慣だし、単なる「値引」の一種です。
また、キャッシュバックは景品でもないので、景表法の規制の対象外となるという解釈です。

あくまでキャッシュバックは商品に対する値引なので、違法ではないという立てつけです。

金融庁の見解

国の機関では現金化についてどのように認識しているのでしょうか。

ここでは金融庁の見解を紹介します。

2017年4月25日の国会で金融庁長官が「クレジットカードのショッピング枠現金化について」聞かれて回答しています。

質問したのは、衆議院議員の丸山穂高氏です。

第193回国会 衆議院 財務金融委員会 第15号 平成29年4月25日
金融庁長官 遠藤俊英の答弁

いわゆるクレジットカードのショッピング枠の現金化と申しますのは、業者がカード会員にクレジットカードのショッピング枠を利用させて価値のない商品を購入させ、その代金の一部を払い戻す、あるいは、換金性の高い商品を購入させ、買い取るといった行為であるというふうに認識しております。
 これは、その代金の一部を払い戻すか、あるいは換金性の高い商品をその業者が買い取るかといった行為によって、貸金業法上の貸し付けに該当するかどうかということについて個別に判断していく必要がございます。ということで、一概には申し上げられません。

要約すると、

「クレジットカード現金化が、貸金業法にあたるかどうかは個別のケースを調べないとわからない。」

ということのようです。

クレジットカード現金化業者は貸金業ではないというスタンスですが、もし貸金業とみなされれば、貸金業法に違反していることになります。

しかし、この答弁を見る限り、「一概に法律違反になるとは言い切れないけど、個別に調べてみれば違反している業者がいるかも。」という見解と解釈できそうです。

結局、合法・違法どっち?

違法

私は、法律の専門家ではないので確かなことは言えません。

しかし、過去の摘発の事例を見る限り、違法な業者がいたことは確かなようです。

例えば、以下のような取引では違法性が指摘されています。

  • 商品買取といいながら商品売買の実態が無い
  • キャッシュバック方式といいながら購入した商品が送られていない
  • 実際には価値のない商品を高額で取引している
  • 金融サービスであると誤解させるような案内をしている
  • フリマアプリとかで直接現金化を購入する(現金購入方式による現金化)

利用者も逮捕される?

逮捕

業者が逮捕された事例はありますが、利用者が逮捕された事例はありません。

以下のような警察関係者のコメントでも、利用者はあくまでも「被害者」という位置付けになっています。

カード現金化は、実質年利が数百%にも達する事実上のヤミ金融。多重債務者の被害拡大につながるとして問題となっているが、「被害者は後ろめたさを感じ、ほとんど被害を届け出ない」(警察庁幹部)という。

日本経済新聞より抜粋

なので今のところ利用者として現金化業者を利用したとしても、逮捕される心配はしなくて大丈夫です。

ただし、今後法制化が進めばどうなるかは分かりません。

どっちにしろカードの規約違反なのは間違いない

違法性のあるなしとは別に、クレジットカードの利用規約に違反することは間違いありません。

現金化したことがカード会社にばれれば以下のような措置が取られ、今後クレジットカードを利用しづらくなります。

また、それだけではなく、残債の一括返済になれば資金繰りの予定も大きく狂ってしまいます。

  • カードの利用停止
  • 残債の一括返済
  • 信用情報に事故履歴が残って今後の借入やカード発行がしづらくなる
第2章 カードの管理
第6条(カードの貸与と取扱い)2
また、会員は、現行紙幣・貨幣の購入、または、現金化を目的として商品・サービスの購入などにカードのショッピング枠を使用してはならず、また違法な取引に使用してはなりません。
第15条(カード利用の一時停止等)
4.当社は、会員が本規約に違反した場合もしくは違反するおそれがある場合またはカードの利用状況に不審がある場合には、カードショッピング、キャッシングリボおよび海外キャッシュサービスの全部もしくは一部の利用を一時的に停止すること、または加盟店や現金自動預払機等を通じてカードの回収を行うことができます。加盟店からカード回収の要請があったときは、会員は異議なくこれに応ずるものとします。

第4章 期限の利益の喪失・会員資格の取消し・退会等
第22条(期限の利益の喪失)
3.本会員は、次のいずれかの事由に該当した場合、当社の請求により、本規約に基づく一切の債務について期限の利益を失い、直ちに債務の全額を支払うものとします。
(1)当社が所有権留保した商品の質入れ・譲渡・賃貸その他の処分を行ったとき。
(2)本規約上の義務に違反し、その違反が本規約の重大な違反となるとき。
(3)本会員の信用状態が悪化したとき。

債務整理ができなくなるリスクがある

また、クレジットカード現金化の利用は、自己破産など債務整理の審査に影響が出る場合があります。

借金を免責してもらう自己破産が適用されるためには裁判所の許可が必要です。

例えば、はじめから返済しないつもりで借入をしたり、クレジットカードで買い物をしていれば、自己破産の許可はおりません。

「どうせ自己破産するなら借りられるだけ借りておこう」という人が出てこないようにするための決まりです。

クレジットカード現金化がこの行為に該当するかどうかはケースバイケースですが、カードローンなどの借入ができないからと言って、クレジットカードを現金化して、しかもカード会社への返済を一度もしないということになれば、免責許可が出ない可能性もあります。

ちなみに、法律相談サイト「弁護士ドットコム」で以下のような相談と回答が投稿されていました。

「相談内容」
今更ながらですが、支払いができずに、クレジットカードで商品券を購入し現金化したお金を支払いにあてました。悪いこととは知らずにただ返すためにでした。
金額は100万近いです。悪いことをしたので自己破産は無理でしょうか

「弁護士の回答」
はっきりと大丈夫とは言えませんが、そのような事情があるケースは少なくなく、免責が認められることが多いです。
弁護士は、免責が得られるように弁護します。
最終的には裁判官が免責の判断をしますが、その際のあなたの態度等も加味されます。

実際のところはケースバイケースの対応にはなるようです。

電子ギフト券の現金化は合法?

Appleギフト iPhone

クレジットカード現金化サイトと似たサービスで、電子ギフト券の現金化サイトがあり、これは、Appleギフトカードなどの電子ギフト券を買い取って代金を振り込んでくれるサービスです。

AppleギフトカードやAmazonギフト券はクレジットカードで購入ができることから実質的にカード現金化の手段として知られています。

業者はあくまでギフト券を買い取るだけで、購入自体はギフト券の発行元のサイトなので、購入と買取が分離されている分、現金化目的の利用とはみなされないと考えられています。

実際、今のところギフト券買取の業者については逮捕の事例はありません。

選択肢の一つとして知っておくといいかもしれません。

電子ギフト券買取りによる現金化サイト

投稿:2020.08.25 / 更新: / クレジットカード現金化
管理人プロフィール
佐藤明宏
埼玉県出身。元貸金業者。同サイト管理人。
家族に多重債務者がおり幼少から人間の弱さとお金の大事さを痛感しながら育つ。
大学卒業後、大手金融会社へ就職するも親戚のおじさんの薦めで地元の貸金業者に転職。この仕事を通して世の中の仕組みとお金の本質を教わる。
現在は、過去の経験を生かし同サイトの管理人を担当。