クレジットカード現金化と闇金——どちらも「お金を手にする手段」として認識されていますが、その仕組みや危険性、そして本当に安全に使えるのかどうかという点について違いがあることは、意外と知られていません。
本記事では、まずクレジットカード現金化と闇金の基本的な違いを整理し、それぞれが持つリスクについて解説します。
そのうえで、現金化をきっかけに闇金と関わってしまう具体的なケースや、最近急増している「先払い買取り現金化」と呼ばれる新手の闇金手口にも言及します。
今まさに「お金に困っている」という方にとって、安易な選択が人生を狂わせる第一歩にならないよう、この記事が一つの判断材料となれば幸いです。
目次
クレジットカード現金化と闇金の違い
比較項目 | クレジットカード現金化 | 闇金 |
---|---|---|
行為の内容 | ショッピング枠を使って商品を現金化 | 違法な貸付け(融資) |
違法性 | グレーゾーン(利用規約違反) | 違法 |
危険度 | 低〜中 | 高 |
利用対象 | クレカ所持者(与信がある人) | 多重債務者・ブラックリスト者など |
トラブルのリスク | 高額手数料・個人情報漏洩 | 違法な取り立て・法外な利息 |
実際の関係 | 闇金業者が「現金化業者」を装うケースあり | 境界が曖昧な業者も存在 |
クレジットカード現金化
クレジットカード現金化とは、「クレジットカードのショッピング枠」を使って購入した商品を現金化する行為です。
たとえば、クレジットカードで商品や金券などを購入し、即座にそれを買い取ってもらうことでクレジットカードのショッピング枠を現金化させます。
カード会社の利用規約では「現金化目的の利用は禁止」とされており、違法ではないものの、推奨されない行為とされています。
まともな業者であれば、手数料などの費用について明確に示したうえで利用できますが、中には高額な手数料を請求する悪質な業者も散見されます。
闇金
一方、闇金とは、貸金業登録を行わず、法外な金利でお金を貸し付ける違法な貸金業者のことで、「年利数百%以上」「1日で10%の利息」など、出資法や利息制限法に違反した貸付けをしています。
こうした法外な金利に加えて、中には脅迫や嫌がらせなど違法な取り立てを行う業者も存在します。
クレジットカード現金化は闇金につながっている?
クレジットカード現金化と闇金は本来は別の業態ですが、クレジットカード現金化の利用が闇金利用の入口になってしまうケースも少なくありません。
実際にどのようなことが起こり得るか、具体例を見ていきましょう。
追加利用で誘導される
クレジットカード現金化に申し込むと、「カード決済エラーで利用できなかった」などの理由で、利用を断られることがあります。
しかしその直後、「融資という形なら対応できる」といった別の提案を受けることがあり、これが闇金への第一歩となるケースがあります。
また、10万円必要で現金化に申し込んだのに、「5万円しかできない」と断られ、「足りない分は別の方法で用立てます」と提案されるようなパターンも同様です。
利用後、闇金業者から勧誘が来る
現金化サイトを利用する際には、申込時に運転免許証やマイナンバーカード、顔写真、クレジットカードの画像などを提出させられることが一般的です。
こうした個人情報が第三者に流出してしまい、全く別の業者から、
「現金が必要な方へ」
「過去に現金化をご利用されたお客様限定の特別融資」
といったメッセージが届くことがあります。
これは、現金化をしたときの業者が闇金業者と裏でつながっていたり、または情報が売買されたりして、利用者が知らぬ間に、闇金のリストに登録されてしまっているということが考えられます。
こうしたことをきっかけに、知らぬ間に闇金との関係が始まり泥沼に足を踏み入れてしまうことが考えられます。
闇金に手を出さざるを得なくなる
クレジットカード現金化を何度か繰り返していると、カード会社に利用目的がバレてカードが停止されることがあります。
さらに、こうした実績が信用情報機関に「異常取引」として記録されて、ローンやキャッシングの審査に通らなくなってしまうことも珍しくありません。
そうなると、通常の金融機関では借入ができず、資金を捻出する手段が断たれてしまいます。
その結果、「正規の方法ではもう借りられない」と追い詰められ、やむを得ず闇金に頼ってしまうという悪循環に陥ります。
最初は一時的な資金繰りのつもりでも、現金化がきっかけで信用情報が傷つき、結果的に闇金以外に選択肢がなくなるというケースは少なくありません。
「先払い買取り現金化」は闇金そのもの?
最近では「クレジットカード現金化」に似たもので、「先払い買取り現金化」という業態も増えてきています。
先払い買取りの現金化業者は、一見するとクレジットカード現金化と同じような「買取による現金化サービス」を装っていますが、実際にはまったく別の業態であり、その実態は闇金に極めて近い、あるいは闇金そのものであるケースが多く存在します。
この手の業者は「不要な商品券を売って即日現金化」「後払い買取サービス」などとうたっており、表向きは物品の売買を装っています。
しかし、利用者が商品を実際に手にすることはほとんどなく、形式的に「購入・買取」の手続きをしたうえで、すぐに現金が振り込まれ、後日、高額な金額での買い戻し(実質の返済)を要求されます。
その際に設定される手数料は法外であり、実質的には高金利で短期の貸付けを行う違法な貸金業と何ら変わらない構造です。
さらに悪質な業者になると、返済が滞った際の取り立ても違法なものになり、職場や実家などへ執拗な電話をかけてきたり、個人情報をネットへ流出させるなど、闇金と同様の嫌がらせによる違法な取り立てを行うこともあります。
つまり、「先払い買取り」と称することで貸金業法の規制を逃れつつ、実質的には違法貸付を行っているのが実態であり、クレジットカード現金化業者とは別の問題を孕んだ、より危険性の高い闇金型ビジネスであると言えます。
まとめ
クレジットカード現金化は、法律上はグレーゾーンとされている行為であり、表向きは「買い物」の形をとっているため、闇金のような明確な違法性はないように見えます。
しかし、実際には悪質な業者が介在していたり、利用後に情報が流出し、闇金業者からの勧誘につながるリスクが潜んでいます。
さらに、「先払い買取り現金化」などと称して、実質的に闇金行為を行う業者も急増しており、表面上は安心に見えるサービスでも、中身は違法そのものというケースも少なくありません。
お金に困ったときこそ、冷静な判断と情報収集が不可欠です。
現金化や簡易融資のように「すぐにお金が手に入る」サービスには、必ずそれに見合った、あるいはそれ以上のリスクが潜んでいます。
安易な現金化や見せかけの融資に頼る前に、まずは公的な相談窓口や正規の支援制度を検討することを、強くおすすめします。